花ハ踊レヤいろはにほ コード進行分析

花ハ
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大好きな楽曲を理論的な側面から分析します。
(あくまでも一個人の解釈ですので、ご了承ください。)

 

題材は『花ほ』(TVアニメ「ハナヤマタ」より)

作曲編曲:田中秀和さん(MONACA)
作詞  :畑亜貴さん

 

(Intro) Key=A♭

D♭△7 E♭7/D♭ Cm7(11) Fm Fm7
Ⅳ△7 → Ⅴ7/Ⅳ → Ⅲm7 → Ⅵm7

王道進行の変形。SDから始まり、ふわっとした印象に。

(間奏)

B♭m7  Cm7 D♭△7 E♭7sus4
Ⅱm7 → Ⅲm7 → Ⅳ△7 → Ⅴ7sus4

ルート音がスケールトーンを1つずつ駆け上がるスケールトーンモーション。
最後はsus4を使うことによりファンクションをぼやかしている。

(Aメロ)

D♭△7/A♭ Cm7 B△7 B♭m7 E♭7/D♭
Ⅳ△7 → Ⅲm7 → 繋ぎ → Ⅱm7 → Ⅴm7/Ⅳ

Ⅴm7/Ⅳはモーダルインターシェンジで同主調からの借用。
後半が強進行ドミナントモーション。

Gm7 C7♭9(=Gdim7/C B♭) Fm7 Bdim7
Ⅶm7 → Ⅲ7(♭9) → Ⅵm7 → #Ⅱdim7

Ⅶm7はリディアンスケールからの借用。
Ⅶから始まり、ほぼ強進行の4度上進行。
この後のクリシェ地帯接続までずっと4度上強進行。
#Ⅱdim7はⅡm7の同主調変換の更に変形で、機能としてはサブドミナント。
Ⅴに繋がるセカンダリードミナント的な意味合いを持つ。

E♭/B♭ E♭aug/B E♭6omit5/C(=Cm) E♭7/D♭ Dφ/C
Ⅴ/Ⅱ → Ⅴaug → Ⅴ6omit5 → Ⅴ7/Ⅳ Ⅶφ/Ⅲ

Ⅴから始まり、5度上が半音ずつ上がるクリシェ進行。
(の転回形でボトムノートが半音ずつ上がる)

(Bメロ)

D♭△7 C△7 D♭△7 Cm7 Bm7 Cm7 Cm7 Bm7
Ⅳ△7 ♭Ⅳ△7 → Ⅳ△7 → Ⅲm7 ♭Ⅲm7 → Ⅲm7 → Ⅲm7 ♭Ⅲm7

♭がつくが、平行移動をしていると解釈するため
ディグリーも機能も前後の和音に従う。

B♭m7 Cm7 D♭△7(#11) Dφ E♭sus4 → E♭
Ⅱm7 → Ⅲm7 → Ⅳ△7(#11) → #Ⅳφ → Ⅴsus4 → Ⅴ

→ Key=A♭のA♭△7(♭9)/A or Key=E♭のA♭△7(♭9)/A
→ Key=A♭のⅠ△7(♭9)/Ⅱ♭ or Key=E♭のⅣ△7(♭9)/Ⅱ♭

スケールトーンモーション。#Ⅳφは、パッシングディミニッシュと解釈。
sus4を綺麗にメジャートライアドで解決して、いざ転調。
Ⅰ△7(♭9)/A(or Ⅳ△7(♭9))はリバースピアノ(ピアノの逆再生)の部分。
サビ前までの調とサビからの調で共有している和音であり、この和音が橋渡しの役割を担いピボット転調。

(サビ前半) Key=E♭

A♭△7 A♭m△7 Gm7 G♭dim7
Ⅳ△7 → Ⅳm△7 → Ⅲ → 繋ぎ
Ⅳm△7はメロディックマイナーからの借用、最後はパッシングディミニッシュ。

Fm7 Baug(=Gm7(♭13)/B) Cmadd11omit5 Cm7 B♭m7 E♭aug/B
Ⅱm7 → Ⅲm7(♭13)/Ⅴ# → Ⅵmadd11omit5 Ⅵm7 → Ⅴm7 → Ⅰaug/Ⅴ#

Baugの正体は、テンションを含んだGm7の変形。後半は綺麗にモーション。 E♭aug/Bは次の和音Aφ(Aはテンションと解釈する。後述)の上部和音と違う音が一つ(B→C)であり、繋ぎの和音になっているといえる。またKey=E♭はKey=Cmの平行調であるが、サビ全体を平行調であるKey=Cmと見立てた時に、このB→Cの移り変わりの始点のBがCの導音になっており、トニックへの回帰を予感させると考えられる。(実際はKey=E♭におけるⅥのトニックへの変化だが、Key=CmにおけるⅠのトニックと見立てることが出来る。)

(サビ後半)

A♭△7(♭9)/A(=Aφ) A♭m△7 Gφ C7sus4(♭9)
Ⅳ△7(♭9)/Ⅱ♭ → Ⅳm△7 → Ⅲφ → Ⅵm7sus4(♭9)

最初の和音はあくまでもA♭△7(♭9)の転回形であり、Aの音はテンション。
GφとC7sus4(♭9)は、ルート音がCの場合の陰旋法の音階(雅楽等に伝統的に用いられている和風な音階。C ,D♭, F,G,B♭)に全てのコードトーンが含まれているため、これにより和風の雰囲気を強く感じさせる。また、この部分はメロディーにもD♭(陰旋法の特性音)が使われているため、より強い和風を感じさせる。

Fm7 E♭/G E♭m7/A♭ B♭7sus4 B♭7
Ⅱm7 → Ⅰ/Ⅲ → Ⅰm7/Ⅳ → Ⅴ7sus4 → Ⅴ7

Ⅱから始まるスケールトーンモーションと解釈。
Ⅱm7とⅠm7/Ⅳはモーダルインターチェンジ。
最後はsus4をドミナントⅤ7で綺麗に解決。

 

<雑感>

イントロとサビでメロディに用いる音に変化がないにも関わらず、不自然さを感じさせない転調を成功させているところがお見事。Key=A♭とKey=E♭の共通のコードである A♭△7 を用いた綺麗なピボット転調も見どころ。

ものすごく気に入った曲であったため、今回はここまで解析を進めましたが、理屈なんか抜きにして単純に好きです。元々作曲編曲の田中秀和さんの楽曲が大好きなのですが、今回も本当に素敵な曲を発表してくれましたね!

実は自分で打ち込んだオケもあるのですが、 問題ありそうなので公式がアップしている動画のリンクを。

 

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